朝ぼらけ

遠浅

9月が見えてきた

旦那がやっと帰国できて7月に東京に越し、来月から日比谷で働くという報告を受ける。
めちゃめちゃおめでたいじゃんヤッターーー!と言って、コロが落ち着いたら絶対遊びに行く〜と返した。前職の同期とは変わらず仲が良く、友達も何人かいるから東京に遊びに行くのがたのしみ。今なら絶対隅から隅まで楽しめるな〜。フラフラの中電車を乗り継いで行ったアサコイワヤナギ、イチジクのパフェを食べたのに味を覚えてない。辺鄙なとこにあるな...の記憶しかなくて、その他のおいしいものも食べたはずなのにマジで抜け落ちてる。新宿の赤からで2時に食べた5辛の味と池袋のうまいオムライスを除いて。
25という年齢もあって、じわじわ結婚ラッシュが始まったみたい。今月2件、先月1件、多分年内にあと2件。結婚か〜めでたいね〜と思ってニコニコ聞いて、そのあとで「わたし結婚するんか...?」と考える時間が3ターンくらいある。今時点そんなルートは見えてないから1人で生きて死ぬルートにいて、そのために貯金やら投信やらせっせとしてるわけなんだけど、しかもそれでかなり満足していて「たのし〜」と思ってるんだけど、ここで「早く結婚相手探さなきゃ!」と焦ったフリするのは2年前に辞めたはずなんだけど、生理前なのもあって「...」とシンミリしてしまった。
そして毒にも薬にもならないことを思い出す。
恋人の友人やお世話になってる人に紹介されるのが嫌いだった。彼女ですと紹介されて挨拶をして、そのあとはちゃんと「彼女」として「女」をやらなければいけない気がしていて、居心地の悪さと滑稽さがそばにあった。ニコニコして、彼にオーダーをお願いして、おいし〜♡と言ったりなんかドジなことをしたりする。今考えたらゾッとするけどそれが正しいと思っていた。所有物として紹介されて、彼が誇らしく思えるように振る舞うことがマルだと信じていた。だから嫌いだった。そんなことをした日の夜は決まって吐き気が止まらなかったのに、どうしてそうなっているのか分からなかった。
転機は突然訪れる。よく遊んでいた男の子と浅草でホッピーを煽り日本酒に溺れ、ヘベレケになってライトアップされた浅草寺の前でワァワァ泣いて一晩中トイレを抱えたあの日がそう。酔っ払って男に励まされながら痺れる頭で「アホくさいことこの上なし」と思ったのだった。好きな上司が辞めることがショックで、それはそれは悲しそうに話して男の同情を誘って酔って飲ませて飲まれてエーンと泣いたフリをしたあの日。私の頭を撫でながらニコニコする男が大層気持ち悪かった。女として、男の1段下にいなければと思って酔っ払った結果だった。庇護されること、包ませることに価値を感じていた。結果として一晩中吐くことになった私に向こうが何を思ったかは想像に難くないが、次の日起きたらちゃんと駅まで送ってくれた。
その翌週に二丁目に行って年上のお姉さんや同い年くらいの女の子と話すようになって、女と女はなんて平等で気持ちがいいんだと知る。同時に、きっとこれが正しい「付き合う」ということだったんだろうなと気付く。私の中に無意識とはいえ性差別があったゆえ引き起こした異性との付き合い方は、同性と付き合い(かける)ことによって浮き彫りになった。(好きだと思った女性が居たが相手がいた)
1人ひとりの人間として付き合えばよかったのに、私はその基本的なところがズレたままヘンな付き合い方,関わり方をしてずっと過ごしてきたみたい。これを直しながら異性と付き合って、結婚までいくなんて今の私からしたらルートが見えないにも程がある。そもそも次に好きになる相手が同性だったら、今の日本で法的に一緒になるのは不可能。だから結婚に焦らない。他人に媚びない、所有物にならないと誓った私はきっと、たぶん、自分の足で立てている。いつか一緒に歩ける人と出会えたら嬉しいなと思いつつ、女が1人で生きてて何が悪いんだよとも思う。
結婚報告を受けるたび、転職成功と同じノリで「ヤッターーー!おめでとう!」と言う私に嘘はない。私の周りの人間がハッピーなのはよいことです。
着地点がおかしなことになったけど、日記だからいいや。ルート変更の兆しが見えたらまた書くかも。