百円の恋を観た



休憩しながら観た。

こういう時に感じたことをちゃんと自分の言葉で出すのが大事だから書く。

良い感想とか書けないけど書く。


きつい。バイト受ける時の住所、あっ横浜なんだ、鶴見か〜までがなんかそれっぽく観られてたとこで(妹と喧嘩するとことかお母さんがお金渡してくれた時にすぐ振り向いてバッてとって金額確認するところまではまだ大丈夫だった)、そっから残り40分になるまでずっときつかった。

家具。部屋の隅に置かれているどでかいマッサージチェア、あれ昔小学生の頃団地に住んでるクラスメイトのお誕生日会で行った時にあったやつだ。部屋の一角を占領していて、何でこんな狭いのにこんなのがあるんだと感じていたのを思い出した。部屋のドアは取手がなんか銀色のやつで、事務所か何かにする予定の建物を生活用に無理くり変えてるのかなと思った。生活層が見える。安い牛乳がなぜかテーブルの上に置いてある。

仕事のシーン。あの店長が鬱だったのかはわからない、けれど本社の人間が言っている「あいつ鬱なんだって」が2014年の労働環境と鬱に対する語り口で、シーンぐちゃぐちゃだけど本社の人間が一子にパンチ食らって投げた言葉が「ブス」だったのもきつかった。その言葉が女に致命傷を負わせる言葉だと思っている。今もいる。きつい。3回言ってた。一子は反応しなかった。本社の人間はまあクソだったけど、私はあの男のやることもわかるのだ。上から叱られて、店舗とかけもちさせられて、従業員は変なのしかいなくて、期限切れの弁当を勝手に取りにくる人間がいて、毎日毎そんなことが繰り返されていたらゴミ袋に中身ぶちまけて「これ食っとけよ」とか言いたくもなるんだろう。あの人だけが唯一社会の中層として描かれていたように思う。かわいそうに。

強姦のシーンは何度も休憩した。トラウマと、男の汗と汚いにおいが画面越しに来そうだった。本当にきつかった。あの男のやったことは吐き気を催す邪悪であってそれ以外ないし、もう思い出すだけではらわたが煮えくりかえる、あんなのは四肢を切られて熊の檻に放り込んでショーとしてアホな金持ちに見せるか生きたまま舌を細かく切られて山に捨てられるべきだ。一子が逃げるシーンが本当にきつくて、ダメだった。ここでやめるか?と一瞬頭をよぎったけどまだボクシングしてないじゃんと耐えた。耐えてよかった。まじでこれに出てくる男みんなドクズなんだけど、青木ジムにいるトレーナーの男の子だけ変に描かれてなかったんじゃないか?彼はひとりだけ「いい左だ」つってた。

強姦されたあと一子は普通に働いていたけど、熱出したのも新井浩史に風邪うつされたわけじゃなくて過度のショックがそうさせたんだと思う。

そのあと泣いてしまって男に寄りかかって結局寝る展開にはウェッ!?となったけど、これは試合後のシーンに繋がっていてよかった。

試合後に一子は勝ちたかったと言って泣いていて、新井浩史に向かって0.5歩動いたところでその場から動かず、そこで泣いた。あれ良かったなあ。そのあとで初めて新井浩史が「おまえ」でなく「一子」と呼んだのにクソ腹が立ったけど。てめえはゴミだよ、何一子とか呼んでんだよ、手を握るんじゃないよ、あーもうだめだよ一子その男はだめだよ。ボクシングで旗が挙げられなかったのかなんなのか知らなくて世の中と人生に拗ねてるんじゃないか。


試合前、一子が明かりの落ちたジムで空を殴る。

hungry/angryの文字だけがライトアップされて、愛に飢えてた女がボクシングを見て選手同士の間に生まれる電波のような(信頼とか絆というとペラくなるから難しいな)ものに惹かれてボクシングを始めて、後半は男に捨てられた怒りと他人への怒りを発散するすべとしてボクシングをやってきたなと振り返れてよかった。


個人的に、一子の父親が「ボクシングか、そういうのもいいな、父さんは歳をとったのに自分に自信がなくて」などと言ったシーンで一子に「甘えてんじゃねえよやれよお前も」と言ってほしかったけれど、一子は別に自信がほしくてボクシングやってるわけじゃないから「何言ってんの?」の返しになるんだよな。

あと変なとこで言うと一子の鉛筆の持ち方ね、こう、グーを作るように握るのね。個人的に鉛筆の持ち方は箸の持ち方と同じくらい育ちが出ると思っているから、彼女の32歳になるまで働かず、弁当屋の親の脛をかじり、引きこもり、全てを放棄していたところの片鱗が見られたと思う。泣き方もそう。声を一定のボリュームで出し続けるウワーーーンじゃなくて、しゃくりあげるみたいにヒック、ウェック と泣くんだよね。泣くのが上手じゃない。今まで泣けてこなかったのかなとも思った。


百円の恋っていうのは、新井浩史が最初店に来た時に100円っつって募金箱にチャリンしたとこで一子が恋をしたからなのか?正直なところ私にはうまく分からないし、新井浩史のことを新井浩史って言って役名で書かないところにも映画を観るのが下手くそなのが出てしまっているけれど良い。

きつかった。

人生を変えるのは遅くないとか、やりたいことをやれとか、私がこれを観て思ったのはそういうんじゃなくって、何かに対する渇望と哀しみと怒りが人間に行動をおこさせてるんだなあということです。期限切れの弁当を漁りに来てた老婆が包丁持って現れたのもそう。あのまま本社の男を刺したのかは分からないけど、「ばいなら〜」と言うのはうん、そのまま彼女は死んだんだろうなと勝手に思っている。

とってもつかれた。

観てよかったとは思う。

安藤サクラはすごい。すごすぎる。