朝ぼらけ

遠浅

爪が可愛いと嬉しい←理解

タイトルの通り。

初めて紫色のネイルを買った。爪の形はあまり良くないし、そもそも短いから何を塗っても映えないんじゃないかと思い諦めてきた派手な色。青ラメまで入っているそれは、例の如く突然降ってきた今日中・なる早で の仕事を2本やる時もメンタルを支えてくれたし、地下鉄で人間に埋もれている時もずっと見てられるきらめきを放ってくれた。うすい紫色の膜の中に平らな青緑のラメが散っている。指の動きでチチチッと目に入る。それがなんともキュートである。

ラメが入ると爪の奥まで空間があるような気持ちになる。初めて知った。

気になるけど爪が長くないから躊躇してると話した時友達が「ショートネイルで艶っぽい色のせてる人は私のヘキにぶっ刺さる」と言ってくれて、あっ塗ってもいいんだ!!!と思ってトライしたんだけど本当に良かった。多分ずっと忘れないお守りの色だ。限定色だけど。ヴィランの雰囲気がある色、田中摩美々の色、冬のキッとした空気が似合う色。嬉しいなあ。こういう時、私いつの間に派手色は長くて美しい爪を持ちし人しか塗ってはならぬと思ってたんだろう...と首を傾げる。嫌だなあ、普段散々「好き放題やるから!!」つってんのにな。雑魚雑魚ムーブじゃあないか。

こちらで過ごす初めての冬な訳だけど、寒暖差よりも冷たい空気を受けて引き攣れる顔の傷がつらい。たまに「ウッ、傷が...」とハリーの真似をしてみるも私には受けた呪いもなく背負うべき使命もなくただ前後不覚で転んで傷が出来ただけの言うなればセルフヴォルデモートなので、おとなしくあずきのチカラを当てて具合をはかる。ハリーと違って自由に電子レンジを使えるから。冷えてひきつれる仕組みがいまいち分かってないけれど、傷1年生なのでいずれそういうもんなんだと慣れていくでしょう。本を読んでる時に痛みが走ると思わず目を閉じてじっ...としてしまうので中々進まない。少し困る。

一瞬「あれ?これわたしがストレスを感じたり自分に嘘ついてる時に傷んでるんじゃね?」とくさい意味付けをしようとしたけれど普通に寒かったら痛むっぽい。ドジってつけたもんに役割なんて背負わされちゃあ傷の方もたまったもんじゃねえよな、ごめんよ。

仕事で作るものの参考になるのは断然YouTubeなのでモーションとか繋ぎ方の勉強にとぼちぼち観てるんだけど、「コスパを愛するわたし♪」の一言から始まった広告がまあ貧しくてクるものがあった。コスメはドラッグストア、お酒は発泡酒、その他いくつかの種類がポップな感じに、いわゆる節約術がいかにも「賢い」と表現したいような言い回しで作られていた。そんなわけあるか。趣味でやるのではなく強いられてるんじゃあないか。嫌々やると惨めになるので上向きな捉え方をしてるように目に映る。つらい。仕事用のアカウントだからこういう広告が出るんだろうか。簡単にMPがザァッと減る。PC版、致し方なし。

ちょうど村田沙耶香の「信仰」の中で口癖が「原価いくら?」の女性が出てくる話を読んだところだったので、それと重なってヤーーでもこれ惨めって思う方が了見狭いんかな、別にこれ押し付けられたわけじゃないしなーーでも広告で流すってことは君もやりなよって軽く押し付けられてるような感覚もするなーーーーとブツブツ言いながらキーボードを叩いた。土曜はほぼ消化試合だから楽だ。村田沙耶香チャレンジ、続いています。私の中で大丈夫な沙耶香と無理!な沙耶香がある。最近少しそのラインが見えてきて手応えをかんじている。本が好きだと以前話していた人にそのチャレンジのことを話したら村田沙耶香って誰...?聞いたことない...と言われてしまって脳が揺れかけたけど沙耶香を読んでいるので耐えられた。己のものさしを押し当てるべからず、いやでもちょっと本が好きって言ってるのに村田沙耶香知らないは中々じゃない!?コンビニ人間も聞いたことないらしいんだよ、何!?べつに読んでなくてもいいから名前だけちらっと聞いたことがあるでも、いや、うーーーーん?

ハーー痛い、痛いぜ。たまにバクっとまた割れてまたぬらぬら血が流れるんじゃないかと不安になるけどどう見てもくっついてるからな、大丈夫なんだよ。

久々にNikonの電源を入れたらその時の私が美しいと思ったものが詰まっていて、横三角を押すたびに記憶が瞬間解凍されていった。朝の海、走る犬、苔の中の獅子舞、夏の空に松山城。やっぱり写真はいいな。朝日が綺麗な部屋だから壁にあたる橙色を1枚撮った。

行きたい場所がいくつもある。

緋田美琴が「ここで死ぬためには、ここで生きていかなきゃいけないんだ、って思ったの」と言っていて私はおいおい泣いたわけだけどそれに近い。生きていかなきゃいけないのだ。雑に生活をやっていい。溜まっていく洗い物を見て見ぬふりしたっていい。生きてく意志を持って毎日をやるってそういうことだ、たぶん。